第7回   今月は「慢性関節リウマチ」です

1.梅雨時に悪化しやすい慢性関節リウマチ

 慢性関節リウマチは、この梅雨時に悪化する傾向があります。東洋医学では、「湿」が「ひ病(リウマチのこと)」原因とされます。なぜ、「湿」がリウマチを悪化させるかといいますと、湿度が高いため、体内の水分代謝が低下し、関節部分の腫脹を引き起こしやすくなるためだと考えられます。


2. 慢性関節リウマチは自己免疫疾患

 慢性関節リウマチは自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患とは、本来外部からの異物を排除するための免疫機構が、遺伝子の異常により自分自身を攻撃するために炎症などが引き起こされる病気です。慢性関節リウマチの症状は、通常は、手足を含む関節に左右対称な炎症・関節炎を起こして、腫脹や痛みをもたらし、しばしば関節内部の破壊にいたる病気です。遺伝性の素因など様々な因子が影響していますが、人口の1%男性:女性=1:3、発症年齢は25〜50歳、多くは徐々に症状が進行します。


3. 西洋医学的治療は、おもに薬物治療と運動・理学療法

  治療薬としては、症状の軽いものから、非ステロイド性抗炎症薬:注(1)、緩徐作用薬:注(2)、コルチコステロイド:注(3)、免疫抑制剤が投与されます。また運動・理学療法は、関節拘縮を予防するためにおこなわれます。
 しかし、リウマチの治療には長期にわたる投与が必要なため、副作用が問題になります。炎症を抑えるためのステロイドや、痛み緩和の薬は、血管収縮をしばしば引き起こし、破壊された組織の回復を困難にします。体内にある血管を広げる物質は、痛みを引き起こす作用もあるため、組織が回復される際に繰り返し痛みが発生します。
 リウマチの痛みはそのような組織回復のための痛みでもあるのですが、ステロイドによって、血流を遮断することは、一時的には痛みを止めることになるかもしれませんが、組織回復を妨げることと、やがて、ステロイドが切れたときに、血流が回復する際に痛みが耐えがたいものになってしまいます。

 注:
(1)関節の腫脹を軽減し、痛みを緩和する
(2)非ステロイドが効かない、骨の変形をふせぐ
(3)炎症をおさえる、などの作用がある。


4. 鍼灸は、破壊された組織回復と、自律神経調節の根本治療

  鍼灸による慢性関節リウマチの治療は、血流を改善することにより、破壊された関節組織の速やかなる回復と、発症の要因の一つと考えられる自律神経のバランスの乱れを調節します。鍼灸による治療は、痛み・炎症をなくすだけという対処療法ではなく、時間はかかりますが、徐々に血流を回復させることによって、組織を回復させます。
 また、自己免疫疾患全般に言えることですが、病気の発症前に強いストレスにさらされた経験のある方が多いことです。つまり遺伝的な素因のあったところに、ストレスによって自律神経が乱され、血流障害や、ホルモン異常などが引き起こされ、病気の発症に至ったと考えられます。鍼灸では、そのような自律神経の交感神経優位な体質を改善します。
 昔から、リウマチ治療に、温泉湯治治療などが効くといわれていたのは、温泉の成分というよりも、温泉によって、ゆったりとリラックスした状態になることが治療になったのであろうと考えられます。鍼灸ではそのような温泉治療と同じような作用をからだに与えます。