第8回   今月は「高血圧」です

1. 高血圧のしくみ

 日常的に「毎日血圧を計っている」「降圧剤を飲んでいる」「高血圧の家系である」という会話が聞かれるぐらい、多くの方が、血圧に関心が高く、また実際に高血圧の治療を受けておられます。しかし、その割には、高血圧とは何か?どうして高血圧が身体に良くないのかわからないまま、血圧の数値だけに一喜一憂し、習慣的に抗圧薬を飲みつづけている方も多くいらっしゃいます。

1.血圧の仕組み
  
血圧の決定因子=心臓の拍出量×末梢血管の抵抗+血液粘度
心臓の拍出量とは、1分間に心臓が送り出す血液量のことで、心臓の1回の収縮により送り出される血液量と、心拍数によって決まります。末梢血管の抵抗とは、血液の流れに逆らう血管の力のことで、血管の弾力や、血管内くうの広さで決まります。
血圧の決定因子のうち、心臓の拍出量と末梢血管抵抗は、延髄の血圧調節中枢に指令を受けた交感神経の緊張・緩和作用により調節されます。また、体内のナトリウムの濃度の影響を受けます。ナトリウム濃度が高くなると、それとペアになるカルシウム濃度も高くなり、カルシウムは血管収縮作用があることから高血圧になります。さらに、様々な臓器から血圧調節に関係するホルモンが作り出されます。

2. 高血圧=血管の壁に及ぼす血液の圧力が高い状態
 高血圧は、そのような血圧調節がうまくいかなくなった状態です。原因となる疾患がわかっている原発性高血圧と、原因が複雑ではっきりしない本態性高血圧の2種類がありますが、高血圧の方の9割が本態性高血圧です。
本態性高血圧の原因には、遺伝的体質によるものと、生活習慣によって引き起こされたものとがあります。遺伝的体質には、ナトリウムの排泄がうまくいかなくて、塩分の多い食べ物を摂取すると血圧が高くなりやすい方や、交感神経が興奮しやすい体質の方など、必ず家族に高血圧の方がいます。生活習慣によるものは、喫煙・ストレスなどにより、血管が収縮したり、また、肥満による心拍出量の増加や動脈硬化が、高血圧の要因となります。


2.高血圧は様々な臓器疾患の原因となる

 それでは、なぜ高血圧が、身体に良くないのでしょうか?血管に常時高い圧力がかかると、次第に血管壁は厚くなり、硬化し、弾力がなくなっていきます。そうすると、臓器の細胞に必要な血液を十分に送り込むことが難しくなります。血液は、酸素や、栄養、組織でいらなくなった老廃物を運ぶ働きがありますので、血液が運び込まれない臓器の細胞は死んでしまい、機能が果たせなくなります。
また、高血圧により、血管が硬くもろくなっているところに、高い圧力が急にかかると、血管が破裂して、出血してしまいます。それが脳血管で起こると、脳出血になり、消化器で起こると、食道動脈瘤破裂などです


3. 西洋医学的治療は、まず生活指導
     それで効果がないと抗圧薬を服用法

 60歳未満の方で、血圧が収縮期140以上〜160未満、拡張期90以上〜115未満の場合、まず減塩・肥満対策などの生活指導をします。それでも、効果がない場合、抗圧薬を服用します。また、高齢になると、動脈硬化のために生理的範囲で収縮期血圧が上がります。60歳以上の高齢者の場合、収縮期血圧が160以下で、臓器障害が認められない場合は、抗圧薬による急激な臓器の血液不足の危険があるために、各自の全身状態や日常生活状態を考慮して、服用するかどうか決定します。
 抗圧薬には、利尿剤・交感神経抑制薬・血管拡張薬・カルシウム拮抗薬の大きく4種類あり、症状・効果によって使い分けられます。


4. 鍼灸治療は、自律神経を調節と、利尿作用

 血管の収縮・拡張は自律神経の交感神経の緊張と緩和によって、引き起こされます。高血圧は、交感神経の緊張・緩和のバランスが崩れて、緊張に偏った状態です。鍼灸治療を続けていくと、自律神経のバランスが次第に整えられ、血圧が徐々に落ち着いてきます。また、腎臓の働きを良くして、利尿作用をうながし、むくみなどによる心臓への負担を軽減します。さらに、抗圧薬を飲みつづけることによる便秘などの副作用を緩和します。生活指導と併せて、鍼灸治療を続けていくと、薬に頼らず、からだに備わった血圧調節がうまく働くようになります。