第13回   今月は「子宮内膜症」です

1. 耐えがたい生理痛、20代30代の女性に急

 毎月生理前・中になると、耐えがたい下腹部の痛みに襲われ、多量の出血のために貧血になり、日常生活に支障をきたすような症状を引き起こし、不妊の一番の原因にもなっている、子宮内膜症。ここ20年で患者が急増しています。

子宮内膜症とは、どのような病気なのでしょうか?
女性の身体は、妊娠可能なように、性ホルモン(卵包ホルモン・黄体ホルモン)の生理周期に支配されています。排卵にともなって、妊娠可能なように子宮内膜が肥厚します。受精が成立しなければ、月経血となって、子宮内膜が剥がれ落ちます。これが、毎月の生理です。
子宮内膜症は、子宮内膜以外の場所(骨盤内腹膜や、卵巣・子宮と直腸の間など)に子宮内膜が増殖する病気です。

子宮以外に増殖した内膜は、性ホルモンの影響をうけ、生理と同じように剥がれ落ちます。それが、出血・癒着を引き起こすと、耐えられない痛みを生じます。


2.子宮内内膜症の原因と西洋医学的治療法

 子宮内膜症の原因は、はっきりと分かっていませんが、生理血が卵管を通じて逆流(90%以上の女性で起こっている)し、それが腹膜に癒着するという子宮内膜移植説。子宮内膜や腹膜は、発生学説に同じ組織であるため、未分化の組織が後天的に子宮内膜になるという体腔上皮化生説などがあります。さらに、初潮年齢の低下と、晩婚少子化のため、からだが生理血にさらされる期間が長くなっていることによるリスク、また、ここ20年で患者が急増した原因として、土壌汚染で発生するダイオキシンが性ホルモンに似た構造であるため、食べ物などを通じて取り込まれたダイオキシンが、内分泌霍乱を引き起こしているという説もあります。

さらに子宮内膜症と不妊の関係は、卵管の癒着により、受精卵が移動できないことや、痛みの物質である、プロスタグランジンが多量に血液にあるため、それを取り除こうと,血液のマクロファージが活発になり、女性のからだにとって異物である精子も食べてしまうからという説があります。

 西洋医学における治療は、大きく3通りあります。

(1)
痛みを引き起こすプロスタグランジンを除去する鎮痛剤による対処療法。

(2)
女性ホルモンがこのような症状を引き起こすため、それを止めたり、男性ホルモンを投与する偽閉経療法や、妊娠中は黄体ホルモンの影響で症状が抑えられるため、ピルなどを使った偽妊娠療法などのホルモン療法。

(3)
手術による癒着箇所や卵巣のチョコレートのう胞の除去。

ホルモン療法の副作用や、手術をしても再発の可能性の高さなど、子宮内膜症は、閉経まで完治することはない慢性病ととらえられています。


3. 鍼灸による子宮内膜症の治療

 子宮内膜症の原因である、生理血の逆流は90%以上の女性にあるにもかかわらず、発症は10%です。それは。ストレスによる免疫力の低下や、冷えによるの血流の悪さや鬱滞が、痛みの増悪要因であると思われます。鍼灸治療による、血流改善・免疫力強化は症状に効果があります。実際、子宮内膜症と診断されて、鍼灸治療を半年続けた結果、内膜症を示す血液のCA125の数値が標準値になった患者さんもいらっしゃいます。