第14回   今月は「腱鞘炎」です

1.腱鞘炎(腱を包む膜)に生じた炎症性の痛み

 関節を動かしているのは筋肉です。筋肉の両端が骨に固定されるところを腱といいます。腱は浮き上がりを抑える腱鞘という膜でできたトンネルの中を通っています。この腱鞘が、度重なる摩擦や、疲労によって、炎症が生じ、痛みが引き起こされたのが腱鞘炎です。

腱鞘炎は、手を酷使する仕事に従事されている方に多く生じ、また、産後や更年期などホルモンバランスが乱れがちな方、老化に伴い代謝機能が衰えた方にも発生します


2.好発部位は、親指の関節と、手首の親指の付け根

 腱鞘炎が発生しやすい部位は、親指の関節と、手首親指側の付け根です。親指の関節の腱鞘炎は「ばね指」と呼ばれ、親指を屈曲すると、クリッ、バキッ、コリッなどの音が痛みを伴って(ない場合もあり)発生します。手首親指の付け根は、ドケルバン症候群と呼ばれ、親指を拳骨のなかにいれて屈曲し、小指側にねじると、痛みが発生するのが特徴です


3.腱鞘炎の症状と西洋医学的治療

 腱鞘炎は、炎症を起こしている部分の腱が酷使のために摩擦や傷を生じることが原因ですが、初期には、腱よりも筋肉全体の凝り、違和感、だるさ、俊敏な屈伸が困難などの痛み以外の症状が発生します。患部の充分な休息で回復するのですが、そのまま放置し、酷使しつづけると、使用中の不快感、瞬間的な痛み、灼熱感、腫れぼったさ、押さえた時の痛みが生じます。さらに症状が進むと、患部を使用していないとき、日常生活の何でもないような使用で、激痛が生じたりします。

治療は、初期においては、まず、患部の安静、炎症があればアイシング、それでも痛みが治まらなければ、腱鞘に局所麻酔入りのステロイド注射をします。それでも症状が改善されなければ、腱鞘を切開し、腱を開放する手術を行います。


4.鍼灸による腱鞘炎治療

 鍼灸による腱鞘炎の治療は、炎症を生じている患部の血行、代謝の改善を促して、炎症を抑え、痛んだ組織を回復させます。
腱鞘炎の生じる原因は、手の酷使が主なものですが、肩凝り、腕の筋肉の疲労による凝り固まりにより、腱の動きがスムーズにできなくなり、余分な力が必要になり、摩擦生じやすくなります。また、ホルモンバランスの乱れ、高脂血漿、高血糖などの代謝異常により、腱鞘内部の潤滑油の欠乏することも関与します。

鍼灸治療によって、首・肩・腕全体の凝りをほぐし血流をよくすることで、患部の発痛物質の排除、痛んだ組織の修復が行われ、徐々に症状が緩和されていきます。