第15回   今月は「低血圧」です

1.病気ではないがQOL(生命の質)に悪影響

「低血圧で朝起きるのが辛い。」「午前中は頭がぼーとしている。」「しょっちゅう立ちくらみがする。」「階段を昇る際動悸がする。」「冷え性で、冷房・冬季が辛い。」「疲れやすく休みの時は,家でごろごろしている。」「胃がもたれる」「少しのことですぐ不安になる」

 上のような症状に悩まされている方は、低血圧症の可能性があります。
 平静時最高血圧が100mmhg以下で、上のような症状を低血圧症といいます。やせて筋肉が少なく、色白な若い女性に多く見られる症状です。

 低血圧には、上のような要因となる疾患が具体的にない「本態性低血圧」と、何らかの病気が原因で引き起こされる低血圧があります。また、「起立性低血圧」といって、血圧の高低にかかわらず、立ち上がったときに、血圧が20mmhg急激に下がることによって、脳貧血が生じ、立ちくらみ、嘔吐などの症状を引き起こす病気があります。

 病気が原因での低血圧の場合、病気の治療が優先され、治療によって改善されます。しかし、本態性低血圧症は、脳溢血や心臓病など重篤な原因となる高血圧症と違って、これまであまり洋医学的な治療の対象になることはありませんでした。

 しかし、QOLを考えた場合、低血圧症は、いきいきとした活動的・生産的な生活を送ることに支障をきたしがちです。低血圧は体質・遺伝だとあきらめないで改善に取り組みませんか?


2.低血圧のしくみ

  血圧=心拍出量×末梢血管抵抗

 低血圧とは、心拍出量(心臓から出る血液量)が少ないか、もしくは、末梢の静脈血管の抵抗が弱いために、血管が膨張して血液が滞留し、心臓に戻るために押し出す圧力が下がっているかのどちらかの原因で引き起こされます。
 心臓の働き、末梢血管収縮は、自律神経・ホルモンなどによって調節されています。痩せて色白の若い女性に多い低血圧症は、自律神経のバランスが崩れることにより、血管の収縮がうまく働かなくなったために引き起こされているようです。

 低血圧症状は、直接的な病気の要因とならないとしても、血圧が低いということは、身体の隅々まで充分な血液が運ばれないということであり、そのため、組織に必要な酸素や栄養素不足になり新陳代謝が悪くなり、また老廃物も滞って、それが発痛物質を産出して痛みを引き起こす原因にもなります


3.低血圧の鍼灸治療

 鍼灸をはじめとする東洋医学の根本原理は「未病を治す」です。つまり未だ病気ならざるをも、積極的に治療の対象とします。それはその状態のからだを「症」としてとらえて、それを改善して、その人本来のからだになるように働きかけます。
 体全体に張り巡らされた自律神経は、脳などの中枢神経で調節されています。「体性―循環反射」といって、皮膚に与えられた刺激が体性感覚神経によって脳に伝えられて、自律神経の交感神経を刺激し、血管が収縮することによって、血圧を上げる機構があります。

 鍼灸の刺激が、この体性感覚神経に作用し、自律神経の調節をすると考えられています。鍼灸治療をつづけるうちに、低血圧症に見られる症状が徐々に改善されていくようになります。
 また、からだが楽になるにつれて、行動も活発になり、そのことが自律神経の交感神経を刺激することにより、相乗効果で体質が改善されていき、積極的な生活を送ることができるようになります。今まで低血圧は体質だからしょうがないとあきらめて、消極的に過ごしてきませんでしたか?鍼灸治療によって低血圧症を治し、積極的で生き生きとした人生を過ごしませんか?。